2004/09/18
「花を運ぶ妹」
とっても面白かった…。池澤夏樹さんの本。インドネシア・バリ島でドラッグのために逮捕された兄と、その兄を救おうとする妹の話。非常に重く、濃密なお話です。
逮捕、投獄というある種究極の体験を通して、いろいろな文化とその交流、国というものの存在、祈りについて、物事の流れについてなどが妹の視点、兄の視点から交互に語られています。兄哲郎のパートはとても重くて、時々読み進めるのが辛くなったりもしましたが、妹カヲルのポジティブさ、明るさに救われました。もちろんカヲル側にもいろいろと辛いことがあるのですが、カヲル自身がとてもまっすぐに現実に対して対峙していこうとする姿勢を貫いているおかげで、なんというか、希望を感じることが出来るのですね。
哲郎とカヲルは肉親らしい、非常に心が近いらしいことを感じさせつつ、世・妹も最近多いと前に書いてた「兄妹恋愛モノ」とは一切無縁の関係を持っていて、そういう意味で君的にはちょっと面白いかもよ>世。
「イノセンス」
すみません、よーやっと DVD で見ました。その画面の濃密さを見て、あーこれは確かに劇場で見るべき映画だったなぁと反省。以前はそれほど劇場と TV で見る映画の差を感じてなかったんですが、「王の帰還」を家で DVD で見た時に、映画館で感じたあのナズグルの恐ろしさをあまり感じなくて、「おお、やっぱり劇場で見た方がいい映画というのもあるんだな」、といまさらのように思った次第。「イノセンス」もそんな気がした。ストーリーや画面の大枠はあくまでも大枠で、それこそ「神は細部に宿る」という言葉をそのまま表現したかのような映画なように思えました。
個人的に興味を持っていたのが、ちょっと前に読んだ「」の中で、押井さんがさんざん言及していた「アニメーションの中で時間を表現する新しいアイディア」というヤツ。本の中では結局それが何であるかは明かされずに、「映画見れ」という結論となっていたのですよね。
んで、僕なりに考えたそのアイディアとは、もしかして「パーティクル表現」なのではないかと思った。イノセンスでは引きのショットで (DVD では点にしか見えない) 無数の鳥が書かれていたり、雨が降っていたり、ガラスに細かいほこりがついていたり (これは時間とは関係ないか)、紙吹雪 (?) が舞っていたりするシーンがとても目につきました。人物や背景などの大きなオブジェクトは静止しているのに、細かなパーティクルは常に動いている。そういう部分で、これまでのアニメーションでは表現出来なかった「時間」を表現したいと思ったりしたんじゃないかしら。そんな安直なモノじゃないのかな。
プロデューサの鈴木さんが「攻殻機動隊2」ではなく「イノセンス」というタイトルにした、というのもなんとなく分かる気がする。TV でやってた Stand Alone Complex に比べると、「攻殻機動隊」、つまり公安9課の存在感はほとんどないに等しいもの。
デジタル一眼
ここのところキヤノン EOS 20D、ペンタックス *ist Ds、コニカミノルタ α-7 DIGITAL、ニコン D2X と立て続けにデジ一眼がリリースされましたが、この中で個人的に一番気になったのは実はペンタックスの *ist Ds。以前、APS 一眼のキヤノン EOS IX-E を使っていたことがあるんですが、フィルムがいらない、フィルム送りのためのメカが必要ないのに IX-E よりも激しく大きい今のデジ一眼は何だかおかしいと思っていて、「世界最小、最軽量」をうたってきたペンタックスの方向性には拍手したくなった。
他にはやはり Nikon COOLPIX 8400 が気になる。僕が普段写真を取るシチュエーションだと、高倍率ズームよりも広角側の方が重要な気がするんですよね。
そういや
Victor の HDD カムコーダ Everio ですが、うーん、ちょっと期待外れだったかも。今思えばティザー広告にも「4Gbytes」というメッセージはあったのでマイクロドライブを使ってくることは予想出来たことではあるんですが、僕は交換可能性よりも、データフローをしっかり合理的なものにした上で固定ディスクで容量を稼ぐことを重視した方が良かったんじゃないかと思うんですよね。これでは前に教えてもらった日立のヤツから変わってないじゃないですか。
「PC に簡単に取り込める」というヴィジョンもいまいち面白くない。PC なんかに持っていくんじゃなくて、家庭にある HDD レコーダや DVD レコーダに対して高速にコピー出来るとか、そういう方向に持っていってほしかった。ビデオ編集や DVD 作成はいわゆる書斎仕事、一人でじっくり取り組む仕事というイメージが普通なのかなぁ。我が家ではリビング仕事 (みんなでワイワイ言いながら編集作業する) なんだけど…